Kanonは、全アルバムの中で1番悩み、1番最後まで自分で直し続けた曲でした。
後半、気がつけばあっと言う間に散ってしまって
気持ちの行き場もなかっただろうなと思う彼女。
画面には写らなかった部分では、きっとこうだったのでは…という気持ちを綴ってゆきました。
テーマも「一騎へのせつない想い」だったので、
17話では、余り強調して描写されなかった
多分どこかで行き場をなくしていたカノンの恋する気持ちを
改めて昇華するような気持ちで書きました。
17話の放映後少ししてから歌の収録がありました。
小林沙苗さんに
「とてもカノンの気持ちですね…」と言っていただけて
すごくうれしかったでのを覚えています。
歌入れではまさに、カノンが命を吹き込んくれたと思う仕上がりになりました。
小林さんは、やさしくて温かくて、大きな海のような方で
少年のようなカノンとは、少しタイプは違うのに「やっぱりカノンだなぁ」と何故か思ってしまったのは
ひたむきで温かな方だったからなのかも知れません。
「私にとってもカノンはとても大切なキャラクターです」とおっしゃっていました。
カノンには、たくさんの名場面がありました。
そのひとつひとつを思い出して繋げてゆくような構成にしてあります。
詞を書いた頃はまだ脚本しかなくて、大好きなカノンがいなくなってしまう辛い部分を
ぐしゃぐしゃになった顔をタオルで拭いながら拭いながら読んで、
そして、また泣きながらガンガン頭を痛くして書いた…何だか今思うと
少し自分でも恥ずかしいような作業風景でした。
いつも真っすぐに一騎が好きで、そして感情がすぐ表に出てしまうカノンが
押し殺していたせつない思い…。
自分を誰より分かってくれていた一騎を大切に思う気持ちと
葛藤と、会えないまま散ってしまった悲しみを私なりの目線で書きました。
皆さんの中のカノンの想い出に、少しだけまた何か残るとうれしいです。
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今年も猫の額くらいの小さな庭…と言う名の駐車スペースのたくさんの鉢に
薔薇が咲き始める。
ここ数年、それを見る度申し訳ないような気分になる。
ほとんど手をかけてあげてないのに毎年律儀に咲いてほころんでくれる
白や薄いピンクやアプリコットの花たち。
広いベランダのマンションに住んでた頃、たくさんの植物を育てていた私は、
5年前小さな家を建てた時、迷わず庭が欲しいと思った。
けれど多分に漏れず都心ゆえの狭小住宅の為に、庭など夢で
結局小さな車がやっと置けるくらいの駐車スペースの周りに
鉢などを置くことにした。
最初の頃は、張り切って薔薇の鉢やらをぐんぐん買い足し
たくさんの花が咲き、殺風景なコンクリートを打っただけのガレージであっても
人々が足を止める程とても美しかった。
ところが次第に私は、水をやるのも手入れをするのも段々苦痛になっていく。
引っ越し先のご近所の方々は、とても気持ちのいい方ばかりで
オープン外構で道に面したそのスペースで作業していても
笑顔で挨拶して下さったり、薔薇を褒めていただいたり本当にありがたかったのだけれど
その中に1人だけどうしても苦手なおばあさん(元気なのでおばさんに見えるけど
うちの両親より年上らしい)がいた。
毎朝、そして時間に関係なく神出鬼没に犬を連れて現れて
長話をしてゆく。
それも根掘り葉掘りプライバシーにガンガン踏み込んでくる。
土地は?家は、幾らだったの?
旦那さんは何の仕事なの?
何才なの?
親に買ってもらったんでしょう?
え?あなたも仕事してるの?
いえ、親の援助は受けていません。というと不満なのか
そんなはずはない的なことや…あれやこれや…
このあたりが、私は本当に不器用でダメな大人だと痛感するのだけれど
余りというか全く上手にかわすことができない。
もちろんまともに答えはしないけれど、口ごもってしまったり
上手く答えられないくせに会話を切り上げてさっさと家に戻ることすら出来ない。
毎日のように現れて色々追求され
30分くらい話しても帰ってくれないおばさんに会うのが日に日に辛くなり
そのうち手入れはもちろん、水をやるのも目を盗んでこそこそと大慌てでするようになる。
そして、外でばったりでくわすと
「あら最近会わないけど…」
「枯れた植木鉢が…留守かと思った」
などぐいぐい私のつらい所に踏み込んで来る。
いつか私は、家の近くは逃げるように足早に通り過ぎたり、姿を見かけると
逃げたりするようになってしまった。
この頃からしばらく体調が悪かったことも手伝って、私はすっかり
外に出るのも、花の水やりや手入れも苦痛になってゆき
少しずつ小さな庭は枯れていった。
そして私も引きこもって行った。
それでも生きている植物がかわいそうで、時々は、おばさんの目を盗んで水をやったり
たまにそそくさと剪定をしたり、肥料をあげた。
虫に喰われてもそのままにして、そのうちそこを大急ぎでジョキジョキ切り落としていった。
水だけは…
夏は毎日、その他の季節は1日おきくらいに
家族にも協力してもらってやり続けた。
本当に伸び放題、枯れ放題手入れの行き届かない荒れた庭になってしまった。
でも。
そんな私の申し訳ない気持ちをを許してくれるかのように
顔を上げなさいと言うように
5月になるとたくさんの花を付けて咲いてくれる薔薇にクレマチスに
時々泣きそうになる。
ごめんね、ごめんね。
ありがとう。
今年もまた、咲き始めた。
そして私は随分元気になった。
もう、おばさんが来ても頑張れるかもしれない。
無精者の庭にも薔薇は咲く。
枯れたかと思ってた鉢が華麗に復活したりもする。
植物の生命力の素敵さに今年も圧倒される。